「グリザイユ」/基礎科高校生コース週4日クラス2007年11月29日up! 基礎科では、受験科と違い、美大入試のための実践的なトレーニングをタイトに行うわけではありませんから、いろいろな切り口で美術に触れる課題を経験します。今回は、週4日クラスの比較的基礎科としては経験の豊富な生徒たちを対象にした、グリザイユという単色の絵の具で描く技法の実習です。モチーフにするのは、下の写真のように透明なコップに透明な水を入れ、透明なガラスの棒が差し込んであるという、とても意地悪な(?)静物です。
<写真右>グリザイユは、本来白と黒の絵の具で灰色を作りその濃淡だけで描く技法ですが、実際に厳密にそれを実行すると、対象の明るさ暗さの違いだけに引っ張られてしまい、質や空間の表現にまで意識が回らないということになりがちなので、今回は、一色だけ有彩色を使用して制作します。最初は、ごく普通のデッサンのように、対象の構造や空間の秩序に注意を払いながら鉛筆で下描きしきます。但し、細かいトーンを入れても意味が無いので、やや線描に近い下描きになります。その下描きの上に、画面全体にオリーブグリーンのような色を一層乗せます。その絵の具が乾いてから、ホワイトの絵の具の濃淡で全体に大きくアタリを入れます。初心者の場合、この段階はまだ描き初めだから、それほど神経使わなくてもいいだろうと思い込んで、大雑把な手の入れ方をしてしまうことがありますが、それは禁物です。細かいところを描くというよりは、細かいところまできちんと観察して、そう見えている理由を理解して、ポイントとなるところには細心の注意を払いながら描く必要があります。この作者も、コップ越しに見える水面の形や、コップの口の形などにかなりルーズなところが見受けられます。
<写真左>有彩色のところは、部分的に何度か薄く同じ色をかけています。こういう、薄く絵の具を重ねていくことをグラッシといいます。背景とコップの中は、グラッシの回数が違うことがわかります。この時点で、画面の中で一番繰り返し絵の具を乗せて、結果的に絵の具の層が一番厚くなるところは明るい部分だということがわかります。床の手前の明るい部分は、奥のやや暗い部分より絵の具の厚みを増し、抵抗感を強めています。まだコップの口などははっきりと形が狂っていますが、一枚目と比べると、コップの周りにぐるりと空間が生まれてきています。コップがわずかに床から浮き上がりそうにも見えるのが気になります。 <写真右>完成です。二枚目の写真と比べて劇的に変化したところはなさそうですが、こういうプロセスで制作する時は、中盤以降に画面が劇的に変わるというのは好ましいことではありません。それでも、床の上に落ちるコップの影の扱いや、ガラスや水によって屈折して複雑に表情を見せる光などをより具体的に詰めていったことで、床の位置がより明快になるなど、絵として大切な部分は完成度を高めています。ただ、描き出しや途中の段階で曖昧だったところは最後まで微妙に狂ったままです。作者がわかっていて意識的に後回しにしていることと、見落としたりつかみ切れないでいたりすることの違いは、こういうところに現われるものです。全体感は悪くはありませんが、必要な細部の秩序の乱れが抑え切れないでいるところに今の作者の力の限界があるのでしょう。何となく腑に落ちないなという感触は持っていますから、自分でその理由を突き止めて対処できる力が付けば、確実に一段階レベルアップできると思います。
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ハマ美の授業で実際に制作している様子をご紹介しています。普段はあまり見る事の出来ない制作プロセスを見る事で、これまで何気なく見ていた作品への見方がきっと変わると思います!不定期に更新していきますのでたまにチェックしてみて下さい! |