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横浜美術学院

どんな風に描いているの? 制作プロセス

石膏デッサン」/基礎科高校生コース週4日クラス

2008年3月12日up!

今回の制作プロセスは、基礎科高校生コース週4日クラスのI.M.さんの「武装せる女神」像の石膏デッサンです。胸像と呼ばれる胸から上の石膏像は、比較的難易度が高いのですが、基礎科の中では経験量が多いほうで高校2年生としては基礎的な力をしっかりと持っているI.M.さんが、どこまで描けるか楽しみです。

〈写真左〉左上は、描き出してから1時間ぐらいでしょうか。全体のバランスを気遣いながら描き進めていこうとしていますが、自分の作品の完成のイメージが今一つ見えていないのか、ぎくしゃくしています。

〈写真右〉大まかな当たりは付いてきました。顔の向きと体の向きがまだ完全につかめていないようです。やや逆光気味の光の中で、大きなトーンのつながりを大まかな形との関係を感じながらつかまえていこうとしていますが、形の構造を理解して具体的に利用していくところを優先的に選びきれていないので、漠然とした印象がぬぐえません。その割には、顔のパーツ(鼻や口など)に突然こだわって描こうとしているので、のっぺらぼうに鼻と口をくっつけたように見えてしまっています。

〈写真左〉まだ印象は違ったままですが、立ち止まらずなんとか先に進めていこうとしています。重要な形の変わり目を意識して押さえ始めたことで、幾分形にメリハリが出てきた感じはありますが、明るさと暗さを色の違いとしてだけ見ているのでしょうか、手前の暗さの中の形がなかなかしっかりとした位置を持ってきません。トーンの違いをなんとなく描き違えるだけではなしに、明るい部分にも暗い部分にも、具体的な位置を持って触ることができる形が同じようにあるということを、意識して描かなくてはなりません。

<写真右>完成です。途中と比べれば随分具体的な形の位置を感じるデッサンになりましたが、まだ像全体の秩序にところどころ破たんがあります。頭部や向こう側の肩のあたりは、背景の紙の白さに空気を感じさせてくれるところがありますが、左側の首の後ろに束ねた髪の毛と肩の背景との関係は、ひどく単調になってしまっています。輪郭に近いところの形がすべて異なる位置にあるはずですが、髪の毛から肩にかけて同じような位置にあるように見えてしまっているのがわかるでしょうか。さまざまな角度から、自分の画面の中に起きている出来事を検証し対処していける力を、受験科に進級したらしっかりと付けてほしいと思います。期待しています。

ハマ美の授業で実際に制作している様子をご紹介しています。普段はあまり見る事の出来ない制作プロセスを見る事で、これまで何気なく見ていた作品への見方がきっと変わると思います!不定期に更新していきますのでたまにチェックしてみて下さい!

今回の一枚

石膏デッサン
木炭紙大サイズ・鉛筆
基礎科高校生コース週4日クラス I.M.さん(高2生)作品

拡大画像がご覧になれます。

アトリエ内に組まれた石膏

これまでの授業のご紹介

こぼれ話

人の姿に似ているけれど・・・

ギリシャ・ローマの彫刻には、両性具有を思わせるものがいくつかあります。もともと神話に題材を求めた彫刻で、姿かたちは人に似せていますが人間そのものを表現するつもりはなかったのですから、性の違いはさほど問題ではなかったのかもしれません。この彫刻も、武具を身につけた女神ということですが、たとえば石膏デッサンの教材として使われているヘルメス像も、姿かたちは完全に男性ですが、左手でまだ赤ん坊のころの酒の神バッカスを抱いて、右手にブドウの房を持ちあやしているポーズをしていると言われています。アリアス(アリアドネ)という石膏像も、角度によってはとても美しい女性の顔立ちに見えますが、正面から見ると、意志強固で知的な男性を思わせる表情をしています。